HiGH&LOW THE WORSTが楽しかった人に試してほしいスーパー戦隊の話
こんにちは。HiGH&LOW THE WORST公開から1か月が経とうとしていますが皆さんいかがお過ごしですか。タイトル通りの記事です。
2年前、noteにこれを書いたとき、「都合上平成ライダーに絞ります」と書いたんですが、そして都合というのは私がライダーほどは戦隊に明るくないのと、作品数が桁違いなので漏れが出そうでこわいというだけの話だったんですけど、遂にスーパー戦隊を書く日が来てしまいました。こんな形で必要に迫られるとは……。(誰の?)
でもTHE WORSTを観たスーパー戦隊畑の皆さん思ったでしょう。体の芯まで馴染みまくったVS文脈。
今だなと思ったので書くことにします。どうせこれも既に戦隊かじってるあたりまでしか届かないことを察しているけど書きたいので書きますね!
おおむね下記のような流れとなりますが、本題は3つめの演者繋がり紹介一覧なので面倒な人はそこまで飛ばしてください。
- スーパー戦隊シリーズってどんな話?
- 大まかなコンテンツ紹介
- 演者繋がりで紹介する各シリーズ
より知見があるかたは、これをたたきに各々よろしくしていただけますと幸いです。お手柔らかにどうぞ。
スーパー戦隊シリーズってどんな話?
スーパー戦隊に全く触れたことがない人も、「イメージカラーのついたヒーローが大体5人くらいいて悪の組織と戦う」くらいのイメージはあると思う。大体あってる。
大体あってるけど、実は途中で追加戦士が増えるパターンが定番化してからのほうが歴史が長いし、そもそも最初が5人スタートじゃないパターンも結構多い。そしてレッドは必ずしも熱血キャラではないし、リーダーとも限らないし、戦う相手が組織だとも限らない。
おそらくみんながもっている戦隊ヒーローのイメージは、漠然とした想像上の謎概念であって、実際のシリーズに照らし合わせると、すべて合致するものは早々ない。
ヒーローたちが戦う理由も、最初から仕事でやってたり、宿命として背負っていたり、いきなり巻き込まれちゃったり、家業だったりといろいろある。
なので、最初からメンバーが揃っていなかったり、元々敵だったのが仲間になったり、戦う理由も違っていたりする。
最初から市民の皆さんのご協力を賜っていることもあれば、世を忍んでいたり、ときに反発されることもある。当然ながら戦うことに悩んだり、仲間内で対立したり恋したりもするし、途中で現場を離れてしまうことだってある。
「街や人を襲うなにか」と戦う、というフォーマットはあるけれど、それをもって描いているものは毎回驚くほどに多様で、そしてそのときどきの社会を反映していて、このシリーズのファンは、そういうところを楽しみにしている人も多いはず。
ここまで読んで「おや……?」と思った方。察しが良い。
HiGH&LOW、もしかして戦隊文脈でも語れるのでは……?
> イメージカラーに分かれたヒーローが大体5人くらいいて悪の組織と戦う。
そう、S.W.O.R.D.完全にこれなんですよね。
雨宮兄弟が追加戦士枠で、琥珀さんは闇落ちした先代戦士。悪の組織こと九龍グループ。驚くほどに身体になじむこの感覚。そして更に、当然ながら、各チームもそれぞれがひとつの戦隊組織っぽい。二重の戦隊構造を兼ね備えているわけです。そりゃ面白いですよ。
逆説的に、HiGH&LOWが馴染むのであればきっとスーパー戦隊も楽しいと思う。きっとそう。というわけで良かったら見てほしい。
大まかなコンテンツ紹介
「戦隊モノって日曜朝にテレビでやってるドラマのことですよね?」
そうです。それでいて映画やショーといった付属コンテンツがあります。そういうところもHiGH&LOWに通じる。(個人の感想です)
大まかにはこんな感じ。
テレビシリーズ
基本的にはこれだけでOK。大体1~2月に開始して、1年スパンで放送されます。ここ20年くらい7:30からでしたが、昨年(2018年)枠移動があって9:30からになりました。朝寝したい人にも優しいですね。
なお、東映公式アプリ『東映特撮ファンクラブ(TTFC)』に課金すると、番組終了後から見逃し配信もございます。見逃しどころか放送終了した戦隊他様々な番組が見られます。便利。
劇場版
毎年恒例、夏(7~8月頃)に映画をやります。
仮面ライダーと同時上映で、スーパー戦隊の尺は30~40分くらいとコンパクト。
コンパクトな分、レッド中心のストーリーになりがちな側面はありますが、これ1本だけで楽しめる作りになっているので、とりあえず作品の雰囲気を知りたい人にはおすすめです。
ちなみに公開時期は各地で舞台挨拶や関連イベントが行われます。
ヒーローショー
東京ドームシティーで僕と握手!
かつては後楽園やスカイシアターといった歴史を経て、今はGロッソシアターにて、定期公演が行われているヒーローショー。1年間のあいだに4~5種類の公演内容が制作され、それぞれ数か月にわたって上演されます。
高所からの跳びこみ、ワイヤーによる滑空、プロジェクションマッピングを駆使した演出などなど、年々技術が進歩していく生のヒーローショーは本当にすごい。スーパー戦隊に少しでも興味を持った都内近郊在住の方は、騙されたと思って観に行ってほしい。そんな楽しいショーなのに、2019年現在1,600円で見られる。映画よりも安い。それでいて毎年「こんな演出ずるすぎるのでは!?」というのが差し出される。
こどもを連れてきた親御さんのほうが興奮している様を見るのが私は大好き。こどもたちの「がんばれー!」を聞くと心が洗われるし、いつまでも「がんばれー!」を言える大人でいたい。
素顔の戦士ショー
上記ヒーローショーの特別版。テレビシリーズのメインキャストたちが実際に顔出しで演じるバージョン。そう、彼らはテレビシリーズと映画を撮影したうえで、1日5~6回まわしの定期アクション公演まで行うのです。すごすぎる。
第4弾(秋~冬)、第5弾(新春~春)くらいの時期に行われて、これもまた見どころだらけ。特に第5弾は最終回後のストーリーなので大変熱い感じになります。それが2,500円前後で見られる。家族向けが前提とはいえ、ちょっとどうかしている。
舞台は生物なのでアドリブパートもあり、見る回によって楽しめます。一人でも多くの人に観てほしい。だけど別の回も観てみたい。そういう葛藤も含めて愛おしいコンテンツ。
戦隊VS(劇場版またはVシネマ)
戦隊VSというのは便宜上の通称なんだけれども、これは放送を終えた前年の戦隊と、放映中の今年の戦隊がクロスオーバーする単体作品。この記事の冒頭で言っていたVS文脈というのはこれのこと。
大抵(そうでないこともあります)
・なんらかのトラブルまたは敵の戦略により、二組の戦隊が対立する
・その後いろいろあって誤解がとける
・そして協力し最強の必殺技と共に敵を打ち砕く
といったフォーマットで展開されます。観たでしょこれ。THE WORSTこれだったよ。
初々しかった前年キャストが、精悍な先輩になって帰ってくるのがたまらない本作。特にレッドが覇王の貫禄つけて現れるのがめちゃくちゃ楽しいです。*1
これは双方を知っているのが前提で展開されている部分があるので、小ネタとかノリとかのニュアンスが初見だと伝わりづらいところもあるんですが、それだけに各々のキャラクターが光るので、ここから入ってもいいのかもしれない…! けど前年側については本編のネタバレ必至になるのでそこがネック。あまり気にしない人はぜひどうぞ。
なおコンテンツとしては他にもキャラソンとか英雄祭(ライブ)とかファイナルライブツアーとかいろいろあるんですけど、この記事一応初心者向けのていなのでそれも割愛しますね。もしはまったら調べてみてください。
演者繋がりで紹介する各シリーズ
本題です。相変わらず導入が長いのどうにかしたほうがいい。
山田裕貴さん『海賊戦隊ゴーカイジャー』(ゴーカイブルー/ジョー・ギブケン)
まずは彼を語らねば始まらない! 我らが鬼邪高最強最高の番長、村山良樹を演じる山田さんの出演作! ヒーローなのに海賊。ヒーローなのにアウトロー。そういうところが最高にかっこいい一作です。
一本目から飛び道具をご紹介する形になりますが、こちらスーパー戦隊シリーズ35作目の記念作で、これまでのすべてのスーパー戦隊に変身できるという、規格外の設定。(タイトルの「海賊」には「海賊版」もかかっているとかいないとか)
戦う力を失ってしまった諸先輩の力を宿し、その歴史を背負い、けれどとらわれはしない彼らが、どう生きてどう戦っていくのか。数々のレジェンドたちのゲスト出演にもけして競り負けない在り様は、どうにもこうにも魅力的。その上で、幼少期に見ていたヒーローたちと再会できるのがまた嬉しい。
山田さん演じるブルーは、長い黒髪が美しいクールな二刀流剣士。俺様船長レッドの右腕として活躍します。劉のビジュアルが好きな人は間違いなく好き。実は心に背負う過去があり、無口でストイックでお菓子作りが得意。盛りすぎである。
ジョーさんのことは多分みんな好きだと思います。まず所作が美しい。見てほしい。なにをどうしたらあれが村山良樹になるのか役者ってすごい。
また、こちらは記念作ということもあり、関連作品が多いのも特徴です。
いきなり本編を見るのはハードルが……という方は、そのあたりから試してみるのも良いかと思います。
VSギャバン。大葉健二さん演じるギャバンが今なおめちゃくちゃかっこよくて最高。
スーパーヒーロー大戦。詳細はライダーのときに書いたので割愛しますが大体ザム。山田さんが抜群に美しいので観てほしい。
他多数。
陳内将さん『特命戦隊ゴーバスターズ』(エンター)
鬼邪高定時三中トリオの中園を演じる陳内さん出演作。こちらはヒーローサイドでなく敵幹部!
機械生命体のアバターという設定で、ヒーローサイドを出し抜いて破壊しまくるわ、倒されても蘇るわ、怪人は作るわ、バチバチしていた別幹部を自身に従順に作り替えるわとやりたい放題(その後の展開がまたアツい)。
非常に合理主義者で酷薄としているのに、芝居がかった口調で優雅に話し、「ボンボンボンジュ~ル♪」などとお茶目にフランス語を織り交ぜてくる様は、好きにならずにはいられない。さっきも言ったが盛りすぎである。
この作品、近年ではトップクラスにシリアスで重い作風ではあるのですが、2012年*2の日本において / 高度に発達した技術の暴走による負債を背負ったこどもたちが / 生死の解らぬ家族の帰還を未だに信じながら / エネルギーを守るために / 宿命的に戦う というド直球の内容を、最後までブレずにやりきったという時点で、違えようのない傑作です。もうこれどうやって終わらすんだと思っていたらちゃんと終わった。すごすぎた。
当時は「大人たちがちゃんとしているエヴァンゲリオン」というたとえも聞きました。真偽は見て確かめていただきたい。
先の山田さんのとことのVSだよ! テレビシリーズよりライトでコメディ色も強いのでこちらで試してみるのとも良いかと!
西川俊介さん『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(アカニンジャー/伊賀崎天晴)
White Rascals ラッシーを演じる西川さんの出演作。レッドだ! 主人公だ! そしておじいちゃんは九龍の植野を演じる笹野高史さんだ!
巷では開始即実家が爆発することでおなじみ。ザムの無名街かニンニンジャーかという勢いで爆発する。「とりあえず爆発するところまで見て」と言われて見始めたら本当にすぐ爆発して「えっ……?」と思っているうちに1話を見終わっていると思う。そして気づいたら最後まで見ている。
「忍びなれども忍ばない」「忍ぶどころか、暴れるぜ!」というキャッチコピーが物語っている通り、本作の魅力は圧倒的なハレ感と突き抜け感。あくまで個人の感想だけれどもおそらく鬱に効く。
というのも、この作品は単純に明るいだけでなく、自己肯定感を育んでくれると思うから。
こちらは家業型戦隊で、メンバーが兄妹とその従兄妹たち(とお客さん)で構成されているのだけれども、それぞれみんな良いところもあり「仕方ないなぁ」というところがある。全然完璧でない、そのへんのお兄さんお姉さん。
親戚だからというのもあるけれど、互いにその「仕方ないなぁ」をあたりまえに受け容れて、その「完璧じゃなさ」「いびつさ」「困ったところ」ごと愛している空気感には、すごく心を楽にしてもらえる部分があります。
それでいて、真剣に『継承』を描いてくるところがまたずるい。あと轟洋介よろしく今から倒そうとしている怪人と記念写真を撮って収集している追加戦士とか出てくる。見どころが多い。
志尊淳さん『烈車戦隊トッキュウジャー』(トッキュウ1号/ライト)
鳳仙のカリスマ、上田佐智雄を演じる志尊さんの出演作。主演だけど「レッド」じゃなくて「1号」なのは相互に「乗り入れ」てカラーチェンジができるから。
こちらは意図せず巻き込まれて変身したタイプの戦隊で、初期メンバー5人は幼馴染。
なんだけど、互いが幼馴染ということ以外の記憶がない。不穏。作風自体は明るく展開していくのに、時折泣きだしたくて仕方がなくなるときがある。
ストーリーはもちろん全く違うんですけど、山王商店街やTHE WORSTの物語に、どこか通じるところがあるような気がしています。とっておきのジュブナイルでSFでファンタジーでノスタルジー。
イマジネーション=想像力をキーに展開する物語からは、「大人の中には子供がいて、子供の中には大人がいる」ことが描かれます。子供向けの番組でありながら、大人と子供を分断しない。子供時代、青春時代のきらめきを示しつつ、常に未来に希望があることを示してくれる作品。
あとゴシックスチームパンクな敵方がむちゃくちゃ素敵。
前述のニンニンジャーとのVS作品。VSシリーズが境地に至ったと言っても過言ではない大傑作。なんだけど、トッキュウジャーのネタバレが前提になるのでできれば本編見てから見てほしい…。
あと主題歌すごく良い。毎年どれもそれぞれ最高なんだけど、トッキュウジャーはライブで聞くとめちゃくちゃアガる。
塩野瑛久さん『獣電戦隊キョウリュウジャー』(キョウリュウグリーン/立風館ソウジ)
鳳仙学園、小田島有剣役で一世を風靡中の塩野さんの出演作。出演時は18歳で高校生役。初々しい……!
演じるグリーンはクールで真面目な努力家の剣道少年。チーム最年少ながら一番の常識人で、恋愛ごとにはちょっと鈍感。クリームソーダが大好物。お姉さんピンクに振り回されたり、伊達男ブラックには「ボーイ」とからかわれたり、トニカクカワイイ。
この作品もハレ感が強いです。なんといってもサンバのステップを踏んで変身する。なにを言っているかわからないと思った人は、とりあえずそこだけでもいいから見てほしい。気づいたら自分でも練習している。
その他、前述の素顔の戦士ショーにて、伝説のアイドルSMAPのメンバー紹介ソング『Five Respect』を起用、替え歌に合わせてダンスのかわりにアクションを見せたり、放映終了後4年経ってからいきなりまったく接点のないソーシャルゲームの宣伝企画で、ゲーム一切関係のない番外編が撮影されるとか、全体的にちょっとよくわからない謎の勢いがある作品。
『Five Respect』に至ってはいまだに白昼夢だったのではないかと疑っている。こういうことがあるのでGロッソには行ったほうがいい。
前述の志尊さんとことの鳳仙VS。これもある程度トッキュウジャー見てからのほうがいいので悩ましいけどご紹介。
こっちは陣内さんのとことのVS。これはここから見ても大丈夫。
松澤一之さん『侍戦隊シンケンジャー』(丹波歳三)
家村会、川田役の松澤一之さんが出演されている本作。松坂桃李さん主演。
とにかくめちゃくちゃ面白いのでなにも聞かずに松澤さんが出るまで見てください。
平田薫さん 『魔法戦隊マジレンジャー』(山崎由佳)
ノボルの彼女、美保を演じる平田薫さん、マジレンジャーのヒロイン(変身しない!)でした。ゴーカイジャーにもチラッとご出演。映画が本当に可愛いので映画貼っちゃった。もう15年近く前なのですね…。これも家族戦隊でかわいい作品です。
なんかすごく漏れがありそうな気がするんですがとりあえずここまで!
これだけ長々書いておいて今ここで言うかという話ですが、THE WORSTで初めてHiGH&LOWシリーズに触れた人は、戦隊見るよりも先にHiGH&LOWシリーズを完走してほしい。
シリーズ全部見てからのTHE WORST、含まれる情報量が違うので……。そしてTHE WORSTを観てから見返す過去作、台詞と描写の厚みが変わるので……。
映画は映画館で見るのが一番だから、上映終了までにあと一回でも多くの幸福な鑑賞体験が残りますように。
終わってロスになった頃にでも、他作品試してみてもらえると幸いです。