伊根に行きました。ほぼ1か月前に。(今書く)
伊根、数年前から気になっていた土地だった。
いつも素敵な喫茶店をRTしてくれるフォロイーさんがいて、このお店のツイートを見たのがファーストコンタクトだったと思う。
おはようございます。
— 台湾茶葉専門店 靑竈 chinzao (@chinzao1) 2022年7月23日
伊根は快晴、靑竈開店です。
本日も美味しい台湾茶とお茶請けを用意して、ご来店をお待ちしています pic.twitter.com/R8oSRHHJAf
日本にこんなロケーションがあるのか。こんなところで茶を飲むのはさぞかし気持ちよかろう。行ってみたい。
一度気にすると、なんとなく情報が入ってくるもので、その後テレビ番組を通して、この地区一帯が保存地区になっていることや、海上タクシー(舟)などが存在しており、景観含めて外国人観光客にウケていることを知る。ますます行ってみたい。
そうこうしているうちに世の中は新種のウイルスによっててんやわんやになってしまい、落ち着いたら行きたい場所の一つにカウントされていた。時期としては3月くらいがいいなと思っていた。海は初春に行くに限るので。(主観)
が、それから数年、世の中は一向に落ち着かなかった。落ち着かないまま入国制限は緩和されるらしい。マジか。
行くか……。
1人だったらいつになるかわからなかったが、幸い一緒に行ってくれる気になった奇特な友人がいたので急に決めた。こうなったら本格的に暑くなる前に行かねばならない。なんならもう雨だっていいくらいのつもりで7月頭に宿をとった。
結果が史上最速の梅雨明けからの引くほどのド晴天。
この日の伊根町予報気温32度。体感予測36度。どうして……。
どうして……と言いながら予報を見たら東京の最高気温は36度も超えて38度まで上がっていたので見なかったことにした。あばよ東京! 私はちっとはマシなところへ行かせてもらうぜ!
そういうわけでデイパックひとつ背負い、始発の新幹線に飛び乗ってコンクリートジャングルを脱出。
そう、海の京都こと伊根は遠いのである。
東京駅から京都駅まで新幹線で2時間半。京都駅から天橋立駅まで特急で2時間。天橋立駅から伊根町までバスで1時間。
朝5時台に出発しても、到着するのは昼過ぎだ。ある意味札幌よりも沖縄よりも遠い。そういうわけで今回の宿は2泊3日で予約している。30歳を超えてこのかた、旅のモットーは「無理をしない」である。
そして今回の旅は、「伊根に行く」「ぼーっとする」が目的なので宿以外なにも決めていない。友人もよく来る気になったと思う。
8時過ぎ、京都駅に到着して友人と合流。
さらっと書いているが、雑計画すぎて当日までチケットを購入しておらず、朝起きてから一応えきねっとで予約(クレカ決済)こそしたのだが、丸腰で自宅最寄り駅に行ったら朝が早すぎてみどりの窓口はおろか専用券売機が稼働時間前で発券できず一瞬詰んでいた。
まあどうにかなるだろうと思って、とりあえずSuicaで品川まで行ったらどうにかなった。
みんなもこういうときは慌てず騒がず新幹線駅まで行って、改札出る前に駅員さんに話して、余分なSuicaの入場記録は消してもらおう。(新幹線の乗車券に東京都区内の移動分が含まれるため)
京都駅でちょっと買い物などして、8:38発の特急はしだて1号に乗車し、天橋立駅へ移動。
この、京都と天橋立を繋ぐ「特急はしだて」、2022年7月現在、全席指定で自由席が存在しない。当日購入が心配であれば事前予約をしておこう。
なお、事前にオンライン予約できるところがわかりづらすぎてキーッ!!となったけれど、結局えきねっとで駅名を入れて検索したら予約できた。Googleで「はしだて 予約」とかで検索してもキーッ!!となるだけなのでえきねっとを使おう。(あと新幹線とまとめて買ったほうが乗車券に割引が効いてちょっと安くなる)(他にもっと安いところあったらごめん)
そしてまだまだ電車乗ってるだけだしなと思ってたら、途中むちゃくちゃ喉が乾いて、朝東京で買ってきたペットボトル1本を空にしてしまい危機を感じる。え……暑くない……? 車内にいるのに……? (新幹線は寒すぎたのに……?)
今耐えられなくはないけれど、ここで油断したら後々熱中症になる気がして怖い。
途中綾部駅での車両切り離しで、5分ほど停車時間があることを車掌さんに確認し、すかさず駅のホームの自販機に行って戻る。夏の旅行はポカリスエットを常に1本装備しておくこと。持てる環境ならもう1本備えること。これ今回の一番の教訓。
そんなこんなで11時前くらいに天橋立駅に到着。
向かいのホームに停まっていたレトロな車体にはしゃいでいたら、友人がいきなり電車にスマホを忘れて慌てて取りに戻る。終点でよかったね。(これはフラグです)
駅は小さいけどレトロモダンに改装されてて綺麗だった。
そういえば、ばたばたしてて行きそびれてしまったんだけど、駅前の天橋立ホテルには無料で入れる足湯があるらしいよ。
駅には観光案内所が併設されていて、大きめロッカー、ATMもあり、駅前にはレンタサイクルもあるので、このあたりの観光をするのであれば、この駅を拠点にするのが吉である。(伏線)
さて、単なる中継地点である天橋立だけれども、日本三景と呼ばれているわけで。一応見に行く? どうする? まあ天気いいし行ってみるか~。(なにもかもが雑)
とりあえず天橋立駅の観光案内所で全部尋ねたところによると、1.伊根まで乗ろうとしていた路線バスと、2.天橋立の観光船と、3.対岸にある傘松公園のケーブルカーと、4.伊根の遊覧船が2日間全部乗り放題のチケットがあるらしいぞ。おあつらえ向きじゃないか。
しかも乗る予定だったバスは、観光船で行った先のバス停からも乗れるらしい。わーいじゃあそれで! おっと30分に1本の観光船の出発がもうすぐだ! ということで「文殊の知恵」の文殊信仰の智恩寺横を足早に通り過ぎ(参りたい気持ちはあったのだ)乗船。
いや海めっちゃ青くない????(そんでかもめめちゃくちゃ仕事するな????)
観光船、室内客席もあるけどデッキが、それも2階がものすごくよい。当日は人が死にかねない日差しだったけれども、動き出したら強く風が吹くので、かなり涼しくて気持ちがいい。天橋立の松林もきれいに見える。きゃっふー。大の大人2人が全力ではしゃぐ。
乗船時間は約12分。これも絶妙で、大はしゃぎ撮影大会が飽きに変わらないくらいの時間なのがちょうどいい。
やがて一之宮桟橋に到着。よしじゃあ笠松公園(山の上)の展望台まで行ってみよう! となったのだがここで問題がひとつ。このへん大きいロッカーがない。(伏線回収)
観光船乗り場に一応ロッカーはあるんだけど、小さいやつなのでキャリーバッグレベルになると入らないぞ。地図を見たら少し歩いたところの元伊勢籠神社に観光案内所が併設されているようなので、そこにあることを期待して移動。
結論:ロッカーはなかった。(荷物預かりもなかった)
観光案内所というか、神社併設の茶房にパンフレット置き場がある感じ。そして茶房は営業開始前であった。Oh……。とりあえず詣でるか……。
ということで、参道から拝殿に行って拝んで戻ってくるだけで、元から常にデバフかかっている私の体力が直射日光によりほぼゼロになる。ゴミ。キャリーバッグ引いてる友人はしゃっきりしているというのに……。
眞名井神社まで行く気力などあるわけもなく、営業開始になった(入口で死にかけながら開くの待ってた)茶房でアイス柚子茶を飲む。普段はこういう店だと絶対抹茶飲むのに。今欲しいものが全部入ってる味がした。ありがとう柚子茶。
そして本来の目的地、笠松公園行きのケーブルカー乗り場へは、今行った拝殿の脇に道があった。先に言ってよ……。(事前に調べないほうが悪い)
日焼け止めを塗りなおして向かったケーブルカー乗り場で、やっと大きいロッカーに遭遇する。よかったね。ようやく2人とも身軽になって山の上へ。
ケーブルカーじゃないのかよ。
いやケーブルカーもあったんだけど、そっちは15分間隔の運行で、それ待って登って観光してたら、1時間に1本のバスに乗れなさそうだったんですよね……。ということでリフトで移動。暑っっっっっっっっつい。誰7月にこんなところ来ようと思った人……。
屋根があるだけちょっとはマシだけど、空気が熱重くてミストサウナにいるのかと思った。日本はどうなろうとしているのか。
気が遠くなりながら約6分で展望台に到着。
日本画??????
こればっかりは百聞は一見に如かずだった。日本三景、伊達じゃなかった。霞のかかりかたが絵。なにこれ。
写真じゃ全然伝わらないので、一度行ってみてほしい。困惑する。
あの島なに? まんま絵じゃん怖……神がかり的なものを感じる……とか言ってたら、展望所脇にあった鳥居がまさにあの島を拝むためのものとの解説があり「ですよね」となりながら手を合わせる。
神々しく見える自然物を祀るという感覚はよくわかるなぁ。
さて、このあたりから店がどんどんなくなっていくため、展望台の売店でポカリを補充。この旅、3日で合計1,000円分くらいポカリ飲んでる。もっと飲んだかもしれない。
そして下りはケーブルカーで移動したけど、また日光でバテていたので写真はない。
みんな気づいていると思うけれど、ここまで長く書いてまだ伊根にたどり着いていない。伊根は遠い。
わたわた下界に戻り、バス停どこだって右往左往してたら、ちょうど通りかかったのでぎゃーって走ったら回送だった。死ぬかと思った。誰だ7月に旅行しようと思ったやつ。(何度目?)
バス1時間に1本なのに、10分くらい遅れてて、待ってるあいだ「もう行ってたらどうしよう……」ってずっとハラハラしてた。乗れた。
バス、1時間くらいかかると聞いていたのでうとうとするつもりだったのだけれど、とにかく景色が美しくて、頭の中には大江千里の『夏の決心』が流れてて、一睡もしなかった。夢みたいに”夏”だった。
そもそも観光船で湾をショートカットしてたので、実際の乗車時間は30分くらいだったんだよね。
平日午後のバスは空いていて、そこに制服姿の子たちがちらほら、通学鞄やナップサックを抱えて眠っていて、胸がいっぱいになってしまった。
今から向かうところはスーパーもコンビニもない場所で、嘘みたいに美しい景色があって、それでもこの子たちには日常で、あたりまえの光景で、それを愛おしんでいるかもしれないし、ここではないどこかに行きたいと思っているのかもしれない、と、もうすぐ田舎を捨てて東京に移ってからの人生のほうが長くなりそうな私は、勝手に思って勝手に感傷に浸っている。迷惑~。
そういう十数年で手に入れたものとか、見失ったものとか、そういうものから全部逃げて投げ捨てて、”夏”に向かっている感じがあって、良かった。
ということでとりあえず到着したので宿の話とかは次の回に!
と言いつつ、ここまで書くのに4時間くらいかかっているので、次があるのかは保証ができない。いつからこんなに文章長いし遅くなっちゃったんだろうな。
なお写真は私が撮ったり友人が撮ったりしてくれたものです。実物はこれより青いんだ。
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