そのひのことごと

平和に生きたい個人の個人による覚書なのでできれば優しくしてほしい

世界の解像度が上がる瞬間 - 深緑野分『戦場のコックたち』

世界の解像度が上がる瞬間、というのが稀にある。

マップが広がる瞬間、と言いかえてもいい。

自分の中にあった点と点が繋がって、線になって、面になって、足場になって、『見える』ようになって、そこに立って初めて、その外にまた遠く果てしなく未開の土地が広がっていることを知る。

『知る』ことは、同時に無知を突きつけられるということだ。知らなかった自分を、まだ知らない自分を、そしてきっとすべてを知ることなどできない自分を。そして手元に得られた欠片だけの知を、だからこそ握りしめるときがある。

続きを読む

ドット・ハチソンの邦訳が読みたい

誰?と思った人のほうが多いと思う。残念ながらそうだと思う。私も1週間前まで誰?だった。小説家である。

蝶のいた庭 (創元推理文庫)

蝶のいた庭 (創元推理文庫)

 

先日久しぶりに書店に立ち寄る機会があって、表紙買いをしたのであった。

書店というのは表紙買いするためにあると言っても過言ではないからね。(過言)
知っている本はオンラインでも買えるけど、知らない本と出逢うのはいまだになかなか難しい。ので、通常時でも本屋に行くと適当に何冊か仕入れてしまう。いわんやこの情勢下や。

そんでまあ新規開拓だし、外れてもいいやくらいの気持ちで読み始めたんですけど、まぁこれが刺さった刺さった、いや~面白かった。
これは作家買い確定だわ、早速Kindleで落としちゃお~と思ってAmazonで検索かけたら邦訳されているのがこれ1冊だったときの衝撃よ。

本国では既に4冊も出ていて、1冊目が出たのは2016年で、それが邦訳されたのが2017年で、このミステリーがすごい!2019年(2018年末刊)』にランクインしているのにこれ1冊しか邦訳版が出ていない。

マジか。

そんなことがあるのか。

私も、私もですね、これが最新刊、いや最新刊といわずあと1冊でも邦訳されていたら、たぶんわざわざここで書かなかったんですよ。でも出てないんですよ。読みたい。読みたいんですよ日本語で。(事のあまり英語で読もうとして10ページで力尽きた)
同年ランクインのアンソニー・ホロヴィッツピーター・スワンソンも既に2冊以上出てるじゃん!!!!*1

ということで『蝶のいた庭』の話をします。
(読んでほしいのでサブリミナルのようにリンクを貼る)

*1:ホロヴィッツは今後も出るだろうけどスワンソン3冊目出るかどうかも地味にひやひやしている。読みたい。

続きを読む

2020年8月の浅草

プライベートで人と会わなくなってから5カ月ほどが経った。

正確にいえば一度だけ、医療関係の知人から数年ぶりに連絡をもらい、今生の別れでも告げられるのかもしれないと思って食事をした。結局そういう要件ではなかったけれど、次がいつになるのかはわからない。微妙な距離で、両者共にできるだけ顔を向けないようにして、別々の皿から摂る食事は、どこかぎこちなくて滑稽だった。

この5カ月の間に、間接的にCOVID-19のせいで(ということになるのだろう、おそらくは)一人の知人を喪い、胸が張り裂けそうな思いでチケットを取った舞台が飛び、改装を終えた奈良ホテルに泊まる予定が飛び、故郷は大雨でむちゃくちゃになり、しかし私の生活はあまり変わっていなかった。

元より一人には慣れている、というか、一人が楽な性分だ。むしろリモートワークが導入された結果、より生きやすくなった説さえある。気心の知れた相手とは、SNSでいくらだって繋がっているし、通勤時間と会議は減って、生活に充てる時間が増えた。

それでもストレスというのは、やはり知らないあいだに溜まっていくのだった。

意外と自分は大丈夫だ、と思って蓋をしていると、やがて時差で手痛いことになるのは2011年の春に嫌というほど学んでいる。今の自分になにが足りないのか考えて、それはおそらく非日常だと思う。今年の春先から始まった非日常は、既に日常になっていた。ここではないどこかに行きたかった。 続きを読む

30年生きて両親に幼少期の復讐をする

たまになにか書こうと思いながら半年以上も放置してしまった。

引きこもってばっかりで話題もないので、2年も前の日記を書くことにする。書きたいときに書くブログなので。

続きを読む

HiGH&LOW THE WORSTが楽しかった人に試してほしいスーパー戦隊の話

こんにちは。HiGH&LOW THE WORST公開から1か月が経とうとしていますが皆さんいかがお過ごしですか。タイトル通りの記事です。

naru-di.hateblo.jp

2年前、noteにこれを書いたとき、「都合上平成ライダーに絞ります」と書いたんですが、そして都合というのは私がライダーほどは戦隊に明るくないのと、作品数が桁違いなので漏れが出そうでこわいというだけの話だったんですけど、遂にスーパー戦隊を書く日が来てしまいました。こんな形で必要に迫られるとは……。(誰の?)

でもTHE WORSTを観たスーパー戦隊畑の皆さん思ったでしょう。体の芯まで馴染みまくったVS文脈。

今だなと思ったので書くことにします。どうせこれも既に戦隊かじってるあたりまでしか届かないことを察しているけど書きたいので書きますね!

おおむね下記のような流れとなりますが、本題は3つめの演者繋がり紹介一覧なので面倒な人はそこまで飛ばしてください。

  1. スーパー戦隊シリーズってどんな話?
  2. 大まかなコンテンツ紹介
  3. 演者繋がりで紹介する各シリーズ

より知見があるかたは、これをたたきに各々よろしくしていただけますと幸いです。お手柔らかにどうぞ。

続きを読む

HiGH&LOW THE WORST 村山と轟と楓士雄と『頭』という存在のこと

HiGH&LOW THE WORST、やっっっとちゃんと2回目を観れました。ずいぶん待った……長かった……。(1度目は完成披露で観た)(スクリーンがえらい位置で集中して見るのが大変だった)

いやーーーーーーーーーーーーーHiGH&LOWでしたね!!!!!!

シリーズを重ねるごとにブラッシュアップされて、常に先へと進んでいるのに、同時にこれまで積み重ねたのものの焼き直しでもあり、コラボとしてもきちんと成立していて……というのはもう他の人が散々話しているかと思うけれども、そしてこれからする話も多分もう誰かしているだろうけれども、主に轟くんの立ち位置とかの話をします。

 (これを読もうという人は多分もう3回くらい観ている人だと思うので普通に内容に触れます)

 

続きを読む